僕にとって六本木の最初の思い出はやはり、80年代の終わりから90年代初頭でしょうか。大学を出たてのころで、いわゆるディスコと呼ばれる場所が全盛だった時代。遊び慣れた友達に連れられて『スクエアビル』に通っていました。渋谷から車で行って最初の信号(六本木交差点)を右に曲がった辺りが、一番濃密な場所だった記憶があります。高校までは勉強ばっかりしていて、それこそ『アマンド』があることくらいしか知らなかったので(笑)、わりと遅い六本木デビューでした。
ディスコに行っては踊るでもなくぼんやり観ていたり、ただただ煌びやかで、それを眺めて楽しんでいた感じです。
なぜだか分らないけれど、あの頃はとにかく六本木に行こう、行かなきゃ始まらないみたいなところがありましたよね。渋谷ではまだ子供、というか(笑)。"六本木に行かないと二十歳(ハタチ)になってない"なんてイメージがあったくらいだったような記憶が、今の大学生はどうなんでしょうね。
六本木の街を夜な夜な徘徊して、それだけで不思議な、キラキラとした夢のようなものがありました。歩いているだけで何かに向かっている、何かに出会えるような感覚があった気がします。僕は派手にお酒を飲んで騒ぐタイプではなかったけれど、そんな自分にとっても遊ばせてくれる街という、"遊びの聖地"みたいな場所だったんです。