ラクティブ六本木では、六本木で開催中のアートイベントの情報を開催日順にご案内しております。
六本木では、デザイン・アートのイベントが常にあちらこちらで開催されております。
心を豊かにするアートイベントにぜひ足をお運び下さい。作品開催中のイベントの詳細情報は、各施設までお問い合わせください。
リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s
2024年3月19日(水) 〜 2025年6月30日(月)
1920年代以降、ル・コルビュジエ(1887-1965年)やミース・ファン・デル・ローエ(1886-1969年)といった多くの建築家が、時代とともに普及した新たな技術を用いて、機能的で快適な住まいを探求しました。その実験的なヴィジョンと革新的なアイデアは、やがて日常へと波及し、人々の暮らしを大きく変えていきました。 本展覧会は、当代の暮らしを根本から問い直し、快適性や機能性、そして芸術性の向上を目指した建築家たちが設計した、戸建ての住宅をご紹介するものです。1920年代から70年代にかけて建てられたモダン・ハウスは、国際的に隆盛したモダニズム建築の造形に呼応しつつも、時代や地域、気候風土、社会とも密接につながり、家族の属性や住まい手の個性をも色濃く反映しています。理想の生活を追い求めた建築家たちによる暮らしの革新は、それぞれの住宅に固有の文脈と切り離せない関係にあるのです。 一方、それらの住宅は、近代において浮上してきた普遍的な課題を解決するものでもありました。身体的な清潔さを保証する衛生設備、光や風を取り込む開放的なガラス窓、家事労働を軽減するキッチン、暮らしを明快に彩る椅子や照明などの調度、そして住まいに取り込まれた豊かなランドスケープは、20世紀に入り、住宅建築のあり方を決定づける重要な要素となったのです。そして、こうした新しい住まいのイメージは、住宅展示や雑誌などを通じて視覚的に流布していきました。 本展覧会では、20世紀にはじまった住宅をめぐる革新的な試みを、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、ランドスケープという、モダン・ハウスを特徴づける7つの観点から再考します。そして、特に力を入れてご紹介する傑作15邸を中心に、20世紀の住まいの実験を、写真や図面、スケッチ、模型、家具、テキスタイル、食器、雑誌やグラフィック、映像などを通じて多角的に検証します。 今から100年ほど前、実験的な試みとしてはじまった住まいのモダニティは、人々の日常へと浸透し、今なお、かたちを変えて息づいています。本展覧会は、今日の私たちの暮らしそのものを見つめ直す機会にもなるでしょう。
https://www.nact.jp/exhibition_special/2025/living-modernity/
時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010
2025年9月 3日(水) 〜 2025年12月 8日(月)
国立新美術館は、香港の現代美術館 M+(エムプラス)との初めての共同企画により、「日本の現代美術と世界 1989−2010(仮称)」を開催いたします。 本展は 1989年から2010年までの約20年間に焦点をあて、日本の現代美術を再考するものです。昭和が終わり平成元年を迎えた1989年と、2011年の東日本大震災という大きな節目に挟まれたこの20年は、冷戦の終結とともにグローバル化が進み、国内外を問わず、政治、経済、文化、市民生活が大きく変化した時代です。 国や地域の枠組みを超えて、国際交流を重ねながら変化してきた日本の現代美術の軌跡をたどる本展は、この時期を象徴する作品と、諸地域で醸成されたアートプロジェクトというふたつの軸が絡みあうように構成され、国内外で活躍してきた日本人アーティストとともに海外のアーティストも取り上げます。本展覧会は、日本の現代美術の姿を、文化的な対話と参加による、多様かつゆるやかなネットワークとして描きだします。これは、日本の現代美術の独自性を強調するという従来の視点とは異なる見かたを提案する試みです。 本展覧会では、変化に満ちたこの時代に、日本の現代美術がいかに歴史的遺産やアイデンティティの多様性といった主題に取り組んできたか、いかに新しいコミュニティの可能性を模索してきたかを紹介します。また、グローバル化が進み始めて最初の20年にあたるこの時期に、日本の美術と視覚文化が世界に与えた影響を考察します。
https://www.nact.jp/exhibition_special/2025/JCAW/
ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧
2025年9月17日(水)〜2025年12月15日(月)
ローマのハイジュエラー、ブルガリ。その色彩を操る唯一無二の手腕に光を当てる「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」展は、日本におけるブルガリの展覧会としては10年ぶり、過去最大のスケールとなります。 「美しい(カロス)」「形態 (エイドス)」を意味するギリシャ語にちなんだ展覧会タイトル「カレイドス」は、美と創造性が調和した、ダイナミックで変化し続ける色彩世界の旅を象徴します。ブルガリ・ヘリテージ・コレクションと貴重な個人コレクションから選び抜かれた色彩のマスターピースというべき約350点のジュエリーは、メゾンの始まりから現在までを跡付けつつ、イタリアと日本の深いつながりを浮き彫りにし、アートとデザインに対する両国共通の情熱や豊かな文化遺産を称えます。また、3名の現代の女性アーティスト、森万里子、ララ・ファヴァレット、中山晃子が、それぞれ色彩についての考察に基づく作品を展示します。 ハイジュエリー、ブルガリ・ヘリテージ・コレクションのクリエーション、現代アート、ブルガリ・ヒストリカル・アーカイブからの貴重な資料、そして没入型のインスタレーションが取り混ぜられた本展覧会は、さまざまな創造性と心を揺さぶる体験が次々と現れる万華鏡のような展覧会です。映像、インタラクティブな空間、芸術的な対話がブルガリの色彩の世界に命を吹き込む多面的な旅を通して、宝石と貴金属を自在に操るメゾンの卓越した技量を堪能していただけるでしょう。
https://www.nact.jp/exhibition_special/2025/bvlgari_kaleidos/
藤本壮介の建築:原初・未来・森
2025年7月2日(水)〜2025年11月9日(日)
藤本壮介(1971年、北海道生まれ)は東京とパリ、深?に設計事務所を構え、個人住宅から大学、商業施設、ホテル、複合施設まで、世界各地でさまざまなプロジェクトを展開しています。2000年の《青森県立美術館設計競技案》で注目を集めたのち、《武蔵野美術大学美術館・図書館》(2010年、東京)、《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013》(ロンドン)、近年では集合住宅《ラルブル・ブラン(白い樹)》(2019年、フランス、モンペリエ)や音楽複合施設《ハンガリー音楽の家》(2021年、ブダペスト)などのプロジェクトを次々と完成させ、高い評価を得てきました。現在は「2025年大阪・関西万博」の会場デザインプロデューサーを務めるなど、いま、最も注目される日本の建築家の一人です。 本展は、藤本にとって初の大規模個展です。活動初期から世界各地で現在進行中のプロジェクトまで網羅的に紹介し、四半世紀にわたる歩みや建築的特徴、思想を概観します。展示では、模型や設計図面、竣工写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型、プロトタイプ(試作モデル)なども含まれ、建築に携わる人だけでなく、だれもが藤本建築のエッセンスを体感できる、現代美術館ならではの展覧会となります。さらに、藤本による未来の都市像の提案を通し、建築の存在意義や可能性についての考察も試みます。 環境への配慮、人と人との変わりゆく関係性、分断されたコミュニティをつなぐ機能、テクノロジーの発展に影響される生活など、今日、建築や都市には従来以上の役割を担うことが求められています。そのような時代に、建築は私たちの暮らしをどう変えうるのか。藤本の実践をとおしてみなさんとともに考えます。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/soufujimoto/index.html
MAMプロジェクト033: クリスティーン・サン・キム
2025年7月2日(水)〜2025年11月9日(日)
今回の「MAMプロジェクト」は、アメリカ出身でドイツ・ベルリンを拠点に活動するクリスティーン・サン・キムを紹介します。 キムはこれまでドローイングをはじめ、映像、彫刻、インスタレーションなどの作品をとおして、音の非聴覚的な側面や、そこに潜む政治的な意味を探求してきました。音楽記譜法やインフォグラフィック、言葉などを用いたドローイングや壁画では、キムにとっての第一言語であるアメリカ手話(American Sign Language)の、ダイナミックな動きや豊かな感情表現を線と空間に置き換えています。 本プロジェクトには、サウンド・インスタレーション作品《群衆のため息》(2025年)と、新作の壁画が出展されます。ウィットに富んだキムの作品は、音と言語、コミュニケーションの複雑さを示しながらも、それらがどのように私たちの感覚、社会的な役割、そして個々人の経験に影響を与えるかを認識させ、「伝える」ことの本質とその可能性をあらためて提示します。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamproject033/index.html
MAMコレクション020: 世界は小さな物語のなかに―下道基行、ヴァンディー・ラッタナ、ジャン・オー(張鴎)、ツァオ・フェイ(曹斐)
2025年7月2日(水)〜2025年11月9日(日)
「MAM コレクション 020」では、アジアをルーツとする4名のアーティストの作品を、「世界は小さな物語のなかに」と題して紹介します。 下道基行(1978年、日本生まれ)、ヴァンディー・ラッタナ(1980年、カンボジア生まれ)、ジャン・オー(張鴎、1976年、中国生まれ)、ツァオ・フェイ(曹斐、1978年、中国生まれ)は、国家や人種、歴史との狭間にある名もなき人々や風景に意識を傾け、それら「小さな物語」から見えてくる世界の構造を、独自の視点で鋭く問い直します。4名のアーティストの作品には、太平洋戦争やベトナム戦争によって今日まで残された風景、国際養子縁組政策によって結ばれた人種の異なる親子、ヒップホップカルチャーを軽快に受容する市井の人々などが映しだされています。いずれの作品にも、20世紀初頭から現代に至るまで変化し続けるアジア諸国と米国との複雑な歴史や影響関係が立ち現われ、今なお、私たちが生きる日々の小さな物語のなかにその痕跡を見つけることができるのだと認識させられます。 本展で紹介する4名のアーティストの作品をとおして、来るべき未来に向けての手がかりを見つけることができるでしょう。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamcollection020/index.html
ゴジラTHEアート展
2025年4月26日(土)〜2025年6月29日(日)
2024年に生誕70周年を迎えるゴジラは、誕生からいまに至るまで数々の映像作品として描かれてきました。それぞれの時代を象徴しながら、手がける監督によって異なる存在として我々の前に姿を現してきたゴジラを一言で定義することはできません。 この『ゴジラ・THE・アート展』は、映画の枠を超えた多様なアートによってゴジラを表現する展覧会です。現代に生きる国内外のアーティストたちが「ゴジラとは、何か。」という問いに対し、自身の答えをアート作品として展示します。
https://godzillatheart.com/exhibition/
トーベとムーミン展〜とっておきのものを探しに〜
2025年7月16日(水)〜2025年9月17日(水)
2025年はムーミン小説の出版80周年にあたります。これを記念して、フィンランドのヘルシンキ市立美術館(HAM)の協力のもと、「トーベとムーミン展〜とっておきのものを探しに〜」を開催します。 ムーミンの生みの親で、絵画、風刺画、漫画、絵本、小説など多方面に才能を発揮したアーティスト、トーベ・ヤンソン(1914-2001)。初期の油絵や第二次世界大戦前後の風刺画、ムーミン小説・コミックスの原画やスケッチ、愛用品など約300点を通して、トーベの創作の世界を振り返ります。また、彼女の人生が色濃く反映されたムーミンシリーズの魅力にも迫ります。 会場では、ムーミンの世界を体感できるような演出や、日本ではあまり知られていないトーベの壁画も紹介します。この機会にぜひ、ムーミンシリーズの魅力と、それを支えるトーベの豊かな創造力を再発見してください。
https://tove-moomins.exhibit.jp/
la Galerie du 19M Tokyo
2025年9月30日(火)〜2025年10月20日(月)
2025年9月30日から10月20日まで、le19Mはパリから旅立ち、東京の中心にある東京シティビュー&森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)に居を構えます。 感嘆とサプライズ、そして対話が生まれる空間として企画されたエキシビション「la Galerie du 19M Tokyo」は、メティエダールの魅力を感じられる、刺激や遊び心に溢れた自由な旅に皆さまをお連れします。 2021年、シャネルによってパリに設立されたle19Mは、11のメゾンダールと、約700人の職人や専門家が集結し、ファッションとインテリアのメティエダールを探求するユニークな複合施設です。
https://www.chanel.com/jp/fashion/event/opening-gallery-19m-tokyo-2025/?&utm_campaign=fsh_19m_japan_2025_&utm_source=art-view&utm_medium=referral
高畑勲展 ―日本のアニメーションを作った男。
2025年6月27日(金)〜2025年9月15日(月)
2025年が高畑勲の生誕90年という節目であること、また、2025年は高畑がその人生に大きな影響を受けた太平洋戦争の終戦から80年が経過する年であり、この二つを受け本年夏の開催を決定しました。 本展はスタジオジブリの企画協力を得ており、この開催決定の背景を踏まえ、「火垂るの墓」に着目した展示も予定しています。 本展のティザービジュアルは「火垂るの墓」に加え、高畑の初期作品でありいまだに高い認知度を誇る「アルプスの少女ハイジ」をダブルビジュアルとしました。また、同年秋からはフランス・パリでの本展の巡回が決まっています。 本展が、高畑勲がスタジオジブリで活動する以前の作品で培った技術や彼の思想、そしてスタジオジブリで作られた映画を、改めて見返す機会になることを願います。
https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/isaotakahata-ex/

まだまだざわつく日本美術
2025年7月2日(水)〜8月24日(日)
ある作品を見た時、「えっ?」「おっ!」「うわぁ…」と感じたことはないでしょうか?こうした言葉にならない「心のざわめき」は、作品をよく見るための大切なきっかけとなるはずです。本展は2021年に開催した展覧会「ざわつく日本美術」の第2弾。思わず「心がざわつく」ような展示方法や作品を通して、目や頭、心をほぐし、「作品を見たい!」という気持ちを高めていきます。 今回のテーマは「ぎゅうぎゅうする」「おりおりする」「らぶらぶする」「ぱたぱたする」「ちくちくする」「しゅうしゅうする」の6つ。まだまだ知られていないサントリー美術館のコレクションを通して、作品を「見る」という行為を意識して愉しみながら、日本美術のエッセンスを気軽に味わっていただける展覧会です。 作品との出会いによって沸き起こる、自分自身の「心のざわめき」に耳を傾けると、日本美術の魅力にぐっと近づけるような、意外な発見があるかもしれません。
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2025_3/index.html
土田ヒロミ写真展「俗神」
2025年3月27日(木)〜6月30日(月)
1971年、第8回太陽賞を受賞した「自閉空間」で写真家として本格的にデビューして以来、多岐にわたるテーマで意欲的な作品を発表し続けている土田ヒロミは、戦後日本を代表する写真家の一人として、国内外で高い評価を得ています。 土田ヒロミの名を一躍世に知らしめる一作となったのが、1968年から1975年にかけて日本各地の土俗文化を取材したシリーズ「俗神」です。このシリーズは、「フリーの写真家になることを決めた際、農家を出自とする自分自身を検証するためにまず土俗文化に対峙する必要性を感じた」という土田の想いが原点となっています。青森から沖縄まで全国津々浦々を巡り、時代を超えて継承される土俗的なハレの場、なかでも大衆や風物の中にある日本人の土俗的感性を赤裸々にとらえ提示しました。 急速な経済成長が土着的なものを容赦なく侵食していく中、土田の視点でとらえられた土地と人々が紡ぎあげてきたさまざまなハレの場の記録は、1972年から隔月で『カメラ毎日』に「絆」として連載され、1974年には、海外で初めて日本の写真家を紹介する大規模な展覧会となったニューヨーク近代美術館での「New Japanese Photography」展にも同シリーズの作品が出品されます。1976年、デビュー作である「自閉空間」からの作品も加え、写真集『俗神』(オットーズ・ブックス社)として刊行され大きな反響を呼びました。 本展では、シリーズ「俗神」から精選したゼラチンシルバープリントによる約30点を展示します。大きな転換点の中にいる今という時代だからこそ、「俗神」の世界は、より新鮮に深く見るものに多くを問いかけてくれます。
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/250327_05.html
榎並悦子写真展「越中八尾 おわら風の盆」
2025年6月13日(金)〜7月3日(木)
「おわら風の盆」は、立春から数えて二百十日の台風の厄日にあたる9月1日から3日に、富山市八尾(やつお)町で毎年開催される風鎮祭です。農作物が風害に遭わないようにと、江戸時代から300年以上ものあいだ受け継がれてきました。三味線、胡弓、太鼓のお囃子で唄い上げられる民謡おわら節にあわせて、編み笠を目深に被った男女が踊り、数千のぼんぼりが灯る坂の町を練り歩きます。おわらの優美な踊りや哀調を帯びた楽器の音色、繊細な歌詞は訪れる人を魅了してきました。 本展では、この行事を20年以上にわたり撮影し続けている榎並悦子の写真作品で、風の盆の世界をご案内します。
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/250613_01.html
深瀬昌久 「洋子/遊戯」
2025年7月1日(火)〜2025年9月30日(火)
1960年代から70年代の日本は、それまでの文脈にはない新しい写真表現を生み出す多くの写真家たちが出現した豊穣の時代でした。深瀬昌久(1934–2012)は、その中でも徹底的に「私性」を追求し、日本独自の表現といわれる「私写真」の先駆者として、日本の現代写真史に比類ない足跡を残した写真家です。2014年、深瀬の作品を管理する深瀬昌久アーカイブスの設立以降、国内外での展覧会の開催や写真集の発刊により、その評価が高まり続けています。2025年春には深瀬昌久の半生を描いた映画『レイブンズ』(監督:マーク・ギル、主演:浅野忠信、瀧内公美)が公開され、さらにその作品に注目が集まっています。 家族、愛猫、さらには自分自身……と、常に緊密な関係性の中で写真を撮り続けた深瀬昌久。なかでも、1963年に出会い、翌年に結婚した妻・洋子を10年余にわたって撮り続けた一連の写真群は、写真家・深瀬昌久を語る上で欠かすことのできないものです。「10年もの間、彼は私とともに暮らしながら、私をレンズの中にのみ見つめ、彼の写した私は、まごうことない彼自身でしかなかった」(「救いようのないエゴイスト」、『カメラ毎日』創刊20年記念別冊『写真家100人 顔と作品』、1973年)と洋子自身が綴っているとおり、執拗ともいえるカメラが介在した私生活によって1976年に二人の結婚生活はピリオドを打ちます。その2年後に深瀬は写真集『洋子』(朝日ソノラマ刊)を上梓します(2025年4月には、赤々舎から同作と、深瀬の第一作目となる『遊戯』が併せて復刊されました)。 本展では深瀬昌久アーカイブスの協力を得て、二人が出会った1963年に東京・芝浦のと場を舞台に深瀬お手製の黒マントをまとった洋子をとらえた、没後初発表となるヴィンテージプリント33点を展示します。自身の存在と写真表現を追求し続け、「自分のテーマはいつも身辺、手で触れられるものから始まる」と語った深瀬昌久の作品は、見る人々それぞれに「自己とは?」「他者とは?」、さらに写真の本質について、大きな問いかけを投げかけてくれるものと確信します。
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/250701_05.html
ゼミ展2025 デザインの学び方を知る
2025年5月19日(月)〜2025年6月21日(土)
東京ミッドタウン・デザインハブにて、第114回企画展「ゼミ展 2025 デザインの学び方を知る」を開催します。東京ミッドタウン・デザインハブでは、大学・専門学校の教育課程や研究室で取り組まれている課題の内容とその学生作品をご紹介する「ゼミ展」を2018年より開催しています。全国の教育機関のゼミやクラスで取り組まれている様々なデザイン領域の課題内容と作品の展示を通して、社会の中で今どのようなデザイン/デザイナーが必要とされているのか、これからデザインの最前線に出ていく学生たちがどのように課題に向き合っているのかを紹介する企画展です。「ゼミ展 2025 デザインの学び方を知る」では開催にあたり全国から出展校を募り、8組11校にご参加いただきます。本年は通常の課題に加え、デザイン教育における国際交流にも注目しました。日本と海外のゼミによる共同課題、海外の教育機関による滞在制作など「異なる文化や習慣、思考や社会をベースにしたデザインからの学び」にもご注目ください。
https://www.designhub.jp/exhibitions/seminars2025
日本のグラフィックデザイン2025
2025年6月27日(金)〜2025年8月7日(木)
東京ミッドタウン・デザインハブ(構成機関:公益財団法人日本デザイン振興会、公益社団法人日本グラフィックデザイン協会、多摩美術大学 TUB)は、第115回企画展「日本のグラフィックデザイン2025」を6月27日(金)から8月7日(木)まで開催します。 本展を担当する日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)は、会員約3,000人を擁するアジア最大級のデザイン団体です。1981年より、会員による1年間の優れた仕事や作品をまとめた年鑑『Graphic Design in Japan』を発行し、日本の多種多様で質の高いグラフィックデザインの成果を国内外に紹介しています。 年鑑2025年版は、全国の会員から出品された1,778作品から、厳正な選考を通過した562作品を入選作品として掲載(入選率約3割)。本展では、その中から約300点を実物と映像で展示します。身近な雑貨から、書籍、商品パッケージ、ポスター、シンボル・ロゴ、ウェブサイト、映像、展覧会やショップの空間デザインに至るまで、世界でも評価の高い日本のグラフィックデザインの現在を、ぜひご覧ください。
https://www.designhub.jp/exhibitions/gdj2025
『銀河鉄道999』50周年プロジェクト 松本零士展 創作の旅路
2025年6月20日(金)〜2025年9月7日(日)
東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)では、2025年6月20日(金)から9月7日(日)まで、『「銀河鉄道999」50周年プロジェクト 松本零士展 創作の旅路』を開催します。松本零士は、代表作である『銀河鉄道999』『宇宙海賊キャプテンハーロック』をはじめとする数々の名作を生み出しました。こうした作品の数々は、世代・国境を越えて現在も多くの人に愛されています。 1938年に福岡県で生まれ、戦時下の少年時代から夜空を見上げるのが好きだった松本零士は、宇宙を舞台に未来のテクノロジーと壮大なファンタジーが融合したスペースオペラに、平和への願いと未来への希望を込めました。永遠の命に憧れ、機械の体を手に入れる旅に出た鉄郎と、共に銀河鉄道999で旅する、黒衣と長い金髪が印象的な謎の美女メーテル。松本零士が生み出した数多くの魅力的な登場人物たちは、大宇宙の終わりなき「時の輪」を旅します。そこには、いつも生きることの尊さ、命の大切さが描かれていました。 本展は、初期作品を含む300点以上の原画、初公開の資料や貴重な思い出の品々を通して、マンガとアニメというふたつのフィールドで独自の世界観を表現し続けた松本零士のアーティストとしての技術と力、70年を超える創作活動で未来に託したメッセージを読み解きます。 星々が夜空に輝く東京シティビューの美しい夜景に時の輪を重ねて、私たちも冒険の旅に出かけてみましょう。
https://leiji-m-exh.jp/
ALL OF EVANGELION
2025年11月14日(金)〜2026年1月12日(月)
国内外で人気を誇る「エヴァンゲリオン」シリーズは、1995年10月4日にテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』が放送開始となり、2025年で30周年を迎えます。 本展では、これまでまとまって展示されてこなかったテレビアニメの色鮮やかなセル画や、緻密に描かれた原画・設定など、作品の根幹にかかわる制作資料を展示します。さらに、新劇場版シリーズで採り入れられたデジタル制作資料も初展示。今もなお世界で愛される「エヴァンゲリオン」シリーズの魅力を、耳と目と脳で感じる"祝祭"の中でご紹介します。
https://ao-eva.exhibit.jp/
篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い
2025年4月17日(木)〜6月22日(日)
TOTOギャラリー・間では、建築家・篠原一男の生誕100年を記念し、「篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い」を開催します。 篠原一男(1925-2006年)は東京工業大学(現:東京科学大学)で清家清(1918-2005年)に学び、卒業後は同大学で教鞭をとりながらプロフェッサーアーキテクトとして、退職後は自邸兼アトリエ「ハウス イン ヨコハマ」(1985年)に篠原アトリエを構え、設計と言説の発表を続けました。坂本一成、伊東豊雄、長谷川逸子に代表される「篠原スクール」と呼ばれる一群の建築家を輩出するなど、氏の薫陶や影響を受けた多くの建築家が現在、建築界の第一線で活躍しています。 篠原一男は「住宅は芸術である」と唱え、小住宅の設計に多大なエネルギーを費やしました。篠原の住宅は日本における現代住宅のひとつの到達点を示すものとして、現在国内外で再評価の機運が高まっています。この言葉とともに発表された初期の代表作「から傘の家」(1961年)は2022年にスイス、バーゼル近郊(ドイツ、ヴァイル・アム・ライン)のヴィトラ キャンパスに移築再建され、「白の家」(1966年)、「地の家」(1966年)、「谷川さんの住宅」(1974年)もそれぞれ移築や再生によって継承され、その空間を今にとどめています。 本展覧会では建築家の奥山信一氏、貝島桃代氏、建築史家のセン・クアン氏をキュレーターに迎え、生涯を通して自らに「問い」を投げかけ続けた氏の建築家像を、「永遠性」をテーマに再考します。 会場では、東京工業大学篠原研究室作製の原図や模型、真筆のスケッチ、家具などのオリジナル資料を、氏の言説から抽出した「100の問い」と氏自らの分類による「第1の様式」から「第4の様式」に沿って構成し、その活動と人間性を浮かび上がらせます。 篠原の「第5の様式」を予感させる未完の遺作、「蓼科山地の初等幾何」(2006年、計画案)のスケッチも展示予定です。 本展覧会が、氏の遺した空間と言説を次代に継承するための一助になることを願っています。
https://jp.toto.com/gallerma/ex250417/index.htm
新しい建築の当事者たち
2025年7月24日(木)〜2025年10月19日(日)
TOTOギャラリー・間では、「EXPO 2025 大阪・関西万博」の休憩所他設計業務の公募型プロポーザル*にて選ばれた、1980年以降生まれの20組の建築家たちによるグループ展「新しい建築の当事者たち」を開催します。 20組の建築家は万博の休憩所・トイレ・サテライトスタジオ等の施設の提案にあたり、仮設建築物をつくるという前提のもと、社会や建築に対する問いを立て、自らの仮説を手がかりに試行錯誤を続けてきました。それらの取り組みの中には、産業化された建設や流通への挑戦、歴史への接続、循環する素材や既存技術の更新、そして多様な人びとを受け止めていく場としての建築の在り方など、今日的な建築の状況と課題を概観することができます。同時に、彼らは各方面から届く賛否交えたさまざまな意見を引き受け、実現に向けた関与を続けてきました。万博に限らず社会課題の複雑化が加速度的に進み先行きの見えない時代において、こうした向き合い方が、建築を新しくしていくひとつの原動力になると言えるのではないでしょうか。 本展は、20組がどのような問いを立て、複雑な状況に対峙しながらどのように案を実現させてきたのか、会場を埋め尽くす図面や模型などの資料と言葉を通じて彼らの奮闘を追うドキュメンタリーです。また、彼らの実践から、新しい建築の当事者像を浮かび上がらせる試みでもあります。今回の展覧会が20組や万博の枠を超え、現実社会の中で建築を実現させるために奔走するすべての人々と共有し、これからの建築について皆で議論していく場となることを願っています。
https://jp.toto.com/gallerma/ex250724/index.htm
そのとき、どうする?展 −防災のこれからを見渡す−
2025年7月4日(金)〜2025年11月3日(月)
21_21 DESIGN SIGHTでは、2025年7月4日より企画展「そのとき、どうする?展 −防災のこれからを見渡す−」を開催いたします。展覧会ディレクターには、ビジュアルデザインスタジオのWOWを迎えます。 自然災害はいつどこで発生するか、確実にはわかりません。しかし災害から目を背けなければ、今やるべきことや、考えるべきことが見えてくるのではないでしょうか。 本展では、そもそも災害とはなにかという視点から、データビジュアライゼーションをはじめとしたリアルな状況の可視化や、防災に関するプロダクト、災害をきっかけに生まれたプロジェクトなど、人々が直面してきた自然災害とその周辺を広く見つめ直します。そのうえで、改めて向き合いたい、いくつもの「問い」を会場に散りばめます。あらかじめ想像しておけば、未来は少し変えられるかもしれません。
https://www.2121designsight.jp/program/bosai/
FLY WITH IM MEN
2025年7月10日(木)〜2025年8月3日(日)
三宅一生の「一枚の布」という思想を男性の身体という視点から捉え、ものづくりの可能性を追求するメンズブランド、IM MEN(アイム メン)は、2021年のスタート以来、デザインとエンジニアリングの双方に精通したデザインチームが、その融合による新たなものづくりを実現してきました。 2025年1月、初めてパリ・ファッション・ウィークでコレクションを発表し、さらに同じ会場で翌日から3日間開催した展覧会が、本展のもととなっています。これは、ファッションのみならず広くクリエイティブ分野に関わる人々をはじめ、多くの人が垣根を越えて交流を深め、社会と服飾デザインとの未来の関係性を探る良いきっかけになることを目指して挑戦したものでした。 東京で開催する本展では、パリで展示したものの中から、「一枚の布」というフィロソフィーに基づくいくつかのプロダクトにフォーカスしています。その特徴的な構造を表現したインスタレーションとともに、伝統の織りや染めと先端技術を掛け合わせながら開発した独自の布地や、設計技術を駆使し「一枚の布」が持つ可能性を極限まで探究した衣服のディテールを間近にご覧いただけます。
https://www.2121designsight.jp/gallery3/fly_with_im_men/
竹川宣彰 「猫の足尾銅山-光と闇」
2025年5月17日(土)〜2025年6月28日(土)
オオタファインアーツでは、5年ぶりとなる竹川宣彰の個展を開催します。竹川は今展で、この数年取り上げてきた足尾銅山をテーマに、猫で戯画化した花札を描きます。竹川がたびたび作品に取り入れる猫たちは、境界や障害をすり抜けてどこでも自由に往来できる象徴的な存在と見ることができますが、人間の行いを私たち自身が客観的に見るときのフィルター的役割を担っているとも言えます。その猫たちの表情が愛らしく楽しい花札は、どこか少し私達の知る絵柄と違います。それはこれが、日本が植民統治していた朝鮮に持ち込み、大流行して現地で独自に発展した花札「花闘(ファトゥ)」だからです。老若男女が楽しめるゲームとして今でもポピュラーな花札は、日本が近代化と帝国主義に邁進した時代には、常にその前線で労働者とともにあるものでした。竹川は12点の花闘のペインティングのほか、1点の立体作品を発表します。 今年、足尾銅山を経営した古河グループにより「足尾銅山記念館」が建設されます。足尾銅山は、明治時代の急速な近代化がもたらした「光」と「陰」ふたつの相反する結果をそれぞれ象徴する存在です。明治政府の富国強兵政策を背景に日本の産業発展に貢献したという「光」の側面。日本初の公害事件として世に知られる「足尾鉱毒事件」を引き起こしたという「陰」の側面。記念館ではその「光と陰」表裏一体の歴史に焦点が当てられることでしょう。一方竹川は、「光」と「陰」だけでなく、歴史の「闇」にも焦点を当てます。 日中戦争に続くアジア太平洋戦争の激化により武器の材料である銅の増産が必要になった一方、働き手が戦地に駆り出された足尾で労働者不足を補ったのは強制連行されてきた外国人でした。過酷な環境で亡くなった強制労働者を悼む慰霊碑は、今も足尾にひっそりと立っています。最も多く亡くなった当時の敵国/のちの戦勝国・中国の労働者の慰霊碑は、日中国交正常化をきっかけに鉄筋コンクリート製のものが建立されました。しかし、植民地だった朝鮮の人々の慰霊碑は、公的支援なく有志が建てた木柱の一本製のもので、今まさに足尾の山中で朽ち果てんとしています。この慰霊碑がなくなったとき、強制労働の事実を知る人がいなくなったとき、朝鮮人労働者の苦難も日本の植民地主義が冒した過ちも、全て消えてしまうのでしょうか。決してなかったことにはならない不都合な事実が、歴史として一切の光が当たらず陰にもなり得ず、このまま「闇」に葬られようとしていることに竹川は抵抗します。 朝鮮における花闘の流行には、日本の花札がそうであったように賭博に用いられ、労働者たちの娯楽になったという背景があります。猫で戯画化された竹川の花闘が見る者をニヤリとさせるように、実際の花闘や花札も、悲惨な状況を日々耐えていた労働者たちをほんの一瞬でもニヤリとさせ、大きな活力を与える重要なツールとなっていたのでしょう。竹川が花闘をユーモラスに描く行為は、存在がなかったかのように扱われる強制労働者たちにもきっとあったはずの活気に満ちた時間、そこから生まれるエネルギーを、少しでも「あったこと」として現在に再現しようとする試みと言えるかもしれません。猫の表情が楽しい花闘がもたらすバイタリティ溢れる展示をぜひご高覧ください。
https://www.otafinearts.com/ja/exhibitions/333-cats-ashio-copper-mine-light-and-darkenss-nobuaki-takekawa/
企画展 死と再生の物語
2025年6月7日(土)〜2025年7月27日(日)
高度な文明が発達した中国古代では、すぐれた技術によってさまざまな文物がつくりだされ、それらには現代の眼にも斬新で刺激的なデザインの数々がほどこされました。わたしたちの感覚からはかけ離れているようにも思えるこうしたデザインは、いったいどのような思想のもとに生みだされてきたのでしょうか。 本展覧会では、泉屋博古館(京都東山・鹿ヶ谷)所蔵の青銅鏡の名品を中心として、中国古代の洗練されたデザイン感覚、その背景となった神話や世界観をご紹介していきます。そのうえで本展覧会では「動物/植物」「天文」「七夕」「神仙への憧れ」という主に4つの観点から、デザインの背景を読み解いていき、さらには日本美術に与えた影響についてもご紹介いたします。
https://www.artpr.jp/senoku-tokyo/mythology-and-design-in-ancient-china
特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)
―現代マイセンの磁器芸術―

2025年8月30日(土)〜11月3日(月)
生きる喜びの表現、そして平和への想いをこめて ヨーロッパを代表する名窯、マイセン。ドイツ、ザクセン州の古都・マイセンで18世紀に王立の磁器製作所として創業しました。ヨーロッパ初の硬質磁器焼成に成功したマイセンは、多くの名品を世に送り出してきました。 1960年創立250年を迎えたマイセン磁器製作所は、5人のアーティストによって新たな時代を迎えます。アーティストのひとり、巨匠ハインツ・ヴェルナー(Heinz Werner 1928-2019)は、夢の世界へと誘う魅力的なデザインで現代マイセンを代表する数々の名品を生み出します。高度な磁器作りの技術と、5人のアーティストによる「芸術の発展を目指すグループ」の豊かな才能によって生み出された新しい作品の数々は、極めて質が高く、まさに"磁器芸術"と言えるものでしょう。 本展では、ハインツ・ヴェルナーがデザインを手がけた《アラビアンナイト》《サマーナイト》《ブルーオーキッド》など多彩なサービスウェアの数々、プラーク(陶板)などの作品を通して、その魅力を体感していただけるでしょう。巨匠ハインツ・ヴェルナーが創造した名作を中心に、現代マイセンの美しき磁器芸術をご紹介します。
https://sen-oku.or.jp/program/t_20250830_meissen2025tokyo/