最も有力であり、歴史的にも自然な説明として支持されているのが「六本の松の木があった」という説です。こちらはこれは日本各地に見られる地名の付け方(一本松・三本松など)とも一致し、さらに具体的な証拠として文献にも名前が登場する説です。
文政11年(1828)に地元の名主が幕府へさし出した文書に
「六本の松があったとは言いますが、いつまで、どこにあったか分かりません」と記されています。
有名な「お前麻布で気が知れぬ」というよく知られている一節は、ここからきているのですね。
ご存じない方のために説明すると、六本木はもともと麻布の中のごく一部のことを指す地名だったのですが、その由来となった6本の木がどこだか分からない、気(木)がわからない(お前の気持ち、ほんと読めないな)という『気』と『木』を掛けた、江戸っ子風・落語っぽい響きのある表現が流行りました。
また「気が知れぬ」は「黄が知れぬ」にもかけられ、目黒・白金・赤坂・青山とあって、五色の黄だけがこの辺り(麻布)のはずで足りないからという言葉遊びもあるそう。
六本木集落の起源ははっきりしませんが、古くは農家が多くあった土地で、二代将軍夫人(崇源院)の葬儀に功績のあったお坊さんが4つのお寺を建て、その門前をにぎやかにし、また収入のため町人を置く許しを得たのが六本木の始まりでした。
時が過ぎ、戦後のカルチャー発信地として全国に知られるようになり、麻布の六本木から世界の六本木へと発展し、今では国際的な都市になりました。