今回でこの六本木フォトコンテストは第8回目を迎えました。これまでと同様に、六本木に集う人々の様子を多彩な角度から捉えた質の高い作品が多く集められました。 まちの空気や風景、アートが融合した多くの応募作品のグランプリとして選ばれたのは、既に六本木の人気者となっているゴジラと戯れる女性、「美女をガブリ」。黒く屈強なゴジラの鋭い眼力と女性の服の赤と白のコントラストが鮮やかな瞬間を、絶妙なバランスで捉えています。ゴジラの牙にガブリと噛まれた女性の愉しげな表情が目に浮かぶような、ユーモラスで可愛らしい作品となっています。 金賞作品の「夕暮れ富士山とジュークボックス」。六本木のビル高層階からの日没直後の風景の中に、ジュークボックスの光を浮かび上がらせた幻想的な作品です。富士山のシルエットと共に広がる自然と、ジュークボックスという人工物の対比を夕暮れの空気が美しく包み込んでいます。同じく金賞の「青い空を磨く」では、澄み切った空に向かって伸びる六本木の高層ビル群の元、降り注ぐ陽の光に照らされた爽やかな風景が、磨かれるガラス越しに地下から見上げる人々の様子と共に立体的に捉えられ、奥行きのある作品となっています。もう一つの金賞作品、「偶然」では、都会の形式の中にくっきりと映える東京タワーと、その上空にゆったりと浮かぶ飛行船とで出来た偶然の構図が、夕暮れの空の色の美しさで包み込まれています。東京タワーとそれを撮影する女性のシルエットとのコントラストが、この作品を印象深いものにしています。 今回は多くの作品の中に六本木のまちの独特の空気、時間の移ろいが鮮やかに表現され、これまで以上にレベルの高いコンテストとなりました。高度な撮影技術を駆使した作品や絶妙な瞬間をうまく捉えた作品が増え、また応募者の年齢層もより幅広くなったことも作品選考を楽しくしてくれました。今後も更に多くの人々によってこのまちの魅力が写真の中に引き出され、コンテストがますます広がりを見せてくれることを期待しています。 審査委員長 写真家 立木 義浩 |